「排斥」について

  • 2018.07.26 Thursday
  • 21:58
恥ずかしながら、つい最近まで細菌とウイルスが同じものだと思っていた。風邪に抗生物質は無意味であるということは効いていたが、その理由を調べようともしなかった。

「細菌はウイルスよりも物理的にかなり大きく、生物と見なせる」

細菌は生物と見なせるので「抗『生』物質」が有効であるのに対し、ウイルスは生物と見なせるかどうか微妙なところにある存在であり、少なくとも抗生物質が効くような存在ではない。生物学者や医学者に言わせると正確ではないかも知れないが、大きく間違っていはいないようである。

参考資料:「細菌とウイルスの違いとは」

そんなことを考えていたときに、絶望的な記事に接した。
朝日新聞デジタルと毎日新聞、時事ドットコム、北海道新聞の順に。
朝日新聞デジタル:
「HIV感染告げず内定取り消し」 北海道の男性が提訴
磯部征紀2018年7月14日15時00分

 エイズウイルス(HIV)の感染を告げなかったことを理由に、病院に採用内定を取り消されたなどとして、北海道内の30代の社会福祉士が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)を相手に慰謝料など330万円の支払いを求める訴訟を札幌地裁に起こした。
 訴状などによると、社会福祉士の男性は昨年12月、病院から採用内定を得た。男性は採用面接で持病の有無を聞かれたが、HIV感染を伝えなかった。しかし、病院側は今年1月、男性が過去にこの病院で受診した医療記録に感染の記載があることを指摘。男性はとっさに感染を否定した。
 その後、男性は「職場で他者に感染する心配がなく就労に問題ない」という主治医の診断書を病院に提出。HIV感染は就業禁止や解雇の理由にならないと定めた厚生労働省の職場におけるガイドラインも送った。しかし、面接などで正確な回答をしなかったことを理由に、同月31日付で内定を取り消された。
 男性は、感染の有無は秘匿性が高く、面接で告げる必要がないのに不法に内定を取り消されたと主張。本来の目的を超えて医療記録が使われ、プライバシーが侵害されたとしている。
 同協会は「訴状が届いていないのでコメントできない」などとしている。

「根強い偏見へ一石投じたい」

 男性は提訴後に記者会見し、「自分が面接を受けたのは果たして『病院』だったのだろうか。それほど医療の水準を疑う事案だ」と述べ、病院側を批判した。
 男性は数カ月に1度受診し、1日1回服薬しているが、治療によってウイルス量は検出感度以下にとどまり、感染症などの発症もない。社会福祉士として10年以上働き、「残業もするし、皆さんと同じ日常生活を送っている」と話す。
 「厚労省のガイドラインを病院が知らないこと自体が問題」「患者への偏見が根強くあり、訴訟で一石を投じたい」などと話した。


毎日新聞:
感染で内定取り消し 男性が提訴
毎日新聞2018年7月14日 東京朝刊

 エイズウイルス(HIV)感染を告げなかったため病院への就職内定を取り消されたとして、北海道の30代男性が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に対し、慰謝料など330万円の支払いを求めて札幌地裁に提訴した。男性は内定先の病院を以前受診した際に感染を伝えており、この時のカルテを採用判断に使ったことも個人情報の目的外使用と訴えた。
 訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院の求人に応募。社会福祉士として採用が内定した。男性は採用面接で感染を伝えなかったが、カルテで感染を知った病院側が「話が違う」と今年1月に連絡。男性はとっさに「感染していない」と答える一方、約10日後に「職場感染の心配もない」との主治医の診断書を送ったが、病院は「虚偽の事実を述べた」として内定を取り消した。【源馬のぞみ】


時事ドットコム:
HIV感染不告知で内定取り消し=社会福祉法人を提訴−札幌地裁

 エイズウイルス(HIV)感染を申告しなかったことを理由に、病院が就職内定を取り消したのは違法だとして、北海道の30代の男性社会福祉士が13日、病院を運営する社会福祉法人「北海道社会事業協会」(札幌市)に慰謝料など330万円の損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。
 訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院のソーシャルワーカーの求人に応募し、HIVに感染していると告げないまま内定を得た。しかし、以前に患者として受診したカルテを病院が発見し、電話で「話が違う」などと指摘。男性はとっさに感染していないと否定した。病院は、虚偽の事実を伝えたなどとして内定を取り消した。
 提訴後に記者会見した男性は「勝手に人のカルテを見ることが一番の問題点。医療水準は格段に進歩しているが、社会的には差別、偏見が残っている」と話した。
 北海道社会事業協会は「訴状が届き次第、検討したい」とコメントした。(2018/07/13-18:05)


北海道新聞:
HIV告知せず内定取り消し 道内の男性が病院運営法人を提訴
07/14 17:12 更新

 エイズウイルス(HIV)感染を申告しなかったことを理由に病院が採用内定を取り消したのは違法として、道内の社会福祉士の30代男性が13日、病院を運営する社会福祉法人北海道社会事業協会(札幌)に対し、慰謝料など330万円の賠償を求め札幌地裁に提訴した。協会は内定を通知した後、男性が過去にこの病院を受診した際のカルテで感染事実を把握し、内定を取り消した。原告側は「病院の対応はHIV患者に対する差別。カルテの目的外利用も違法行為」と主張する。
 訴状によると、男性は昨年12月、道内の病院の求人に応募。面接で持病を聞かれた際、HIV感染について申告せず、医療ソーシャルワーカーとして今年2月1日付の採用が内定した。
 だが1月、2010年に病院を受診した際のカルテを見た病院側から「話が違う」と指摘を受けた。男性は「就労に問題はなく、職場で他者に感染する心配もない」との主治医の診断書を提出したが、「面接時の虚偽説明」を理由に内定を取り消されたとしている。
 厚生労働省の通達は、HIV感染を理由とする就業制限や解雇を禁じている。誤解や偏見により職場で不当な扱いを受けないよう、感染事実の申告も義務付けておらず、原告側は「重要事実の不告知には当たらず、取り消しは違法」と主張。カルテの閲覧についても「個人情報保護法が禁じる目的外利用」と指摘する。
 提訴後に記者会見した男性は「医療水準が格段に進歩しているのに対し、社会的には根強い差別や偏見があり、現状に一石を投じたい」と話した。
 協会は「訴状が届いてないのでコメントできない」としている。(野口洸)


HIV(Human Immunodeficiency Virus)とAIDS(Acquired immune deficiency syndrome)を混同どころか同一視している人が少なくない、少なくないどころか圧倒的多数らしい。上記四つの記事のうち、時事ドットコムのはYahoo!ニュースにも出た。記事が出ること自体は悪いことではないが、コメント欄に絶望した。「病院は正しい」「そういう人を採用した病院など利用したくない」…このようなコメントばかり。

HIVはAIDSという症状を起こし得るウイルスの名称に過ぎず、発症させない技術(抗HIV薬)も日々、発達している。感染を恐れる気持ちはわからんでもないが、HIVキャリアとキスをしても同じ風呂に入っても感染することはない。性交渉以外では感染しない。血液製剤を経由して感染したことが問題となったが(薬害エイズ事件)、これは非加熱製剤を用いたからである。現在ではそのような感染ルートは遮断されている。それどころか、HIVキャリアであっても子どもを持つことができたケースはレアではない。

参考資料:「新婚夫婦にHIV感染の宣告 子ども授かれるのか」

要は排斥する対象を求めている人たちに、格好の対象を提供してしまったに過ぎない。
自民党の総裁選が近いとされ、派閥が取り沙汰されている。学閥が幅を利かせている企業もある(私的には大阪での「関学閥」が大嫌いである)。これらは「閥」に属さない人間を事前に排斥する。

排斥する側は、排斥する対象を設定することにより「選民」となれる。各種試験に合格できたくらいの優越感を得られるのだろう。これは最近の話ではなく、古くからこの国にある思想の一つである。それが証拠に賎民という概念が、少なくとも平安時代から存在する。

既得権者が、有能な者から参加資格を奪う方法。アベはあらゆるところにこの方法を利用し(=圧力をかけ)、それは教科書採択の場にも及んでいる。

アベの力で国会議員になった杉田水脈が、性的少数者の存在すら否定する発言をして物議を醸している。何をか況んやと思うのだが、自民党はノータッチで二階は「いろんな考え方がある」とまで宣う始末。「言論の自由は他者の権利を侵害しない限りに於いて自由」という基本概念すら持ち合わせていないらしい。「いろんな考え方がある」と言いながら、慰安婦や南京については血相を変える。

日本の選挙権を持つ人は、棄権せず、国政地方を問わず自民党以外の候補者に投票すべきである。世論調査の支持率なんぞどうでもいい「これ以上バカに国政を任せたくなければ」。
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