素振り 〜repeat〜

  • 2017.02.06 Monday
  • 17:39
注文していたシークレットピアスが届いた。


ピアス穴を塞がないためのセカンドピアスで、睡眠時での利用も想定している。金属製ピアスの場合、つけたまま寝ると寝返りを間違えると激痛が走る。小生は、ヘッドフォンをつけるときの為に購入した。オーバーヘッドの場合はそれなりの圧があるので、汎用ピアスは辛い。そこで樹脂製のこれを購入。試してみたところ、違和感は全く感じなかった。


さて。


久々に英語の学習についてである。端的に言ってしまえば「質のよい英短文を、繰り返し暗唱するしかない」。

これに対しては「どのような英短文をどのくらい?」という問いが出てくる。英短文の質については個々人によって異なる「暗唱する本人が文法構造を説明できる程度のもの」。どのくらいという問いについては量に於いては「できる限り多くの英文を」、回数に於いては「果てしなく」。

音声教材が簡単に手に入る時代である。シャドーイングできるまでが一つの目安。「イイタイコト」に対して主語を探してきて、それは三人称だから動詞に [s] がついて…と考えているようではいけない。無論、そのような文法的理解は必要である。だが、そこから先は「自転車の乗り方」である「転ばないように反対のペダルを踏みつつハンドルをしっかり握って」。前方に障害物があって乗り越えなければならない場合は、軽く腰を浮かせて衝撃を受けないようにせねばならない。英短文も同じである。もとになる日本文から「過去完了を使って、従属節の主語は省略して」と考えるのは構わない。それを瞬時にできるまで繰り返さねばならない。それができないというのであれば、英語に限らず外国語の習得は諦めた方がよい。

イチロー選手を思い起こせば理解しやすいかもしれない。彼に同じスイングを10回してみてと頼んだならば、10回全て、バットの芯は同じ軌道を通るはずである。「彼は天才だから?」もちろんそうだろう。普通の人の半分以下の練習で彼はこれをマスターしたかもしれない。だが、彼でも練習は必要だったはずである。その完璧なスイングを会得したからこそ、そことは違うコースに来たボールにバットの芯を合わせることが容易になったはずである。

加えて言えば、彼は今でも練習をしている「その技量を維持し更に高めるために」。

ならば凡人は?

一読して理解できる英文を、流れるように暗唱できるだろうか?スローモーションでのイチロー選手の動きを見て、「理に適っている」と納得することは誰でもできる。英文で言うなら「構文がわかった」という段階に過ぎない。これを血肉化するまでひたすら繰り返す必要がある。単純な訓練や作業は誰にとっても苦痛である。腕立て伏せやスクワットは苦痛だが、否、苦痛であるが故に目的意識を持ってやる者とそうでない者との結果は歴然である。

中学や高校の体育会系の部活では、ペナルティとしてランニングを課するところがあるが、愚の骨頂である。そのような指導者は筋肉と頭脳の関係を理解していない「筋肉を鍛えるのにアタマは要らない」。闇雲に走ったり筋トレしたりするだけであっても筋力はつく。それは否定しない。しかし、そこから伸びることはない。寧ろ苦痛の記憶のみが蓄積され、退行の道が残されているだけである。

小中高の学校教育は12年。小生は半年で高校を中退したので9年半。そこで為されることを凝縮したのが「夏休みの宿題」というやつである。「面倒で鬱陶しい、学力がつくとは到底思えない。だが、9月1日までに仕上げなければ叱られる」これは単なる刑罰である。ここから、学校教育の果たしている二つの役割が浮かび上がる:

・学習という行為は苦痛であると植え付ける
・無理難題であっても、上からの命令には従わねばならない

過労死や過労自殺は後者の産物であり、徴兵を容易にする役割も果たしている。前者は、賢明な市民が出てきては困るという為政者の要望を満たす。そしてここからは自己弁護を兼ねるのだが、学校へ行かなければわざわざ「不登校」と呼ばれる。小生が小学生の頃は登校拒否と呼ばれた。選挙に行かない大人は「不投票」とは言われないのに。

小生の場合、小中高での授業が詰まらんかったから行かなかっただけである。小学生のときは登校拒否、中学で不登校、高校では単位が足りずに留年。「こんな下らん授業を二回も受けられっか!」と退学。どこの時点であっても脱落者だとか落伍者だとか、そのような目で見られた。

学習は学校でしかできないという迷信があるらしい。故に、センター試験で701/800をとって北大に合格したときに「小中学校も多く休んで、高校も途中でやめたのに!?」とご近所さん。

話を語学に戻す。物事を一度で覚えられる人は滅多にいないので、学習には繰り返しを伴う。よって、「学習」=「苦痛」と覚え込まされている人は繰り返しを厭う。幸い、小生はそのような認識を持つに至らなかった。故に繰り返しの行為に入る前に、その行為の持つ意味を勘案することができる。それが「うさぎ跳び」やら「5時間の睡眠」やらであったならば、拒否する。そんな無能な指導者を満足させるために自分を犠牲にする理由は見つからない。

英短文の暗唱には意味があると感じているので、続けている。

アンバランス

  • 2017.02.03 Friday
  • 20:12
毎日新聞より:
セブン−イレブン:バイト病欠で「罰金」 女子高生から9350円 東京の加盟店

 コンビニエンスストア最大手、セブン−イレブンの東京都武蔵野市内の加盟店が、風邪で欠勤したアルバイトの女子高校生(16)から9350円の「罰金」を取っていたことが分かった。セブン−イレブン・ジャパンは「労働基準法違反に当たる」として、加盟店に返金を指導した。
 親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報センターなどによると、女子生徒は1月後半に風邪のため2日間(計10時間)欠勤した。26日にアルバイト代を受け取った際、給与明細には25時間分の2万3375円が記載されていたが、15時間分の現金しか入っていなかった。手書きで「ペナルティ」「9350円」と書かれた付箋が、明細に貼られていた。
 店側は「休む代わりに働く人を探さなかったペナルティー」として、休んだ10時間分の9350円を差し引いたと保護者に説明したという。
 広報センターの担当者は毎日新聞の取材に「加盟店の法令に対する認識不足で申し訳ない」と話した。「労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定めた労基法91条(制裁規定の制限)に違反すると判断したという。

 厚生労働省労働基準局の担当者は「代わりの人間を見つけるのは加盟店オーナーの仕事」と話す。母親は「高校生にとっては大金。立場の弱いアルバイトが差し引かれ、せつない」と語った。【早川健人】


「ペナルティ9,350円」とは論外だが、コンビニオーナーほど持っている権利と背負わされている責任のバランスが取れていない職種はないのではないか。おにぎり一個の値段すら自分では決められない。それでいてバイトやパートを雇うのには労働基準法を守らなければならず、最低賃金も守らねばならない。雇用者が労働者の立場を守らねばならないのは当然なのだが、そういう人件費や商品の仕入れ価格、水道光熱費、宣伝費、個別の商品の売れ行き…これらを考慮して商品の店頭価格が決まる。コンビニの本部はこれらの諸要素をできるだけ勘案し、POSデータなども利用して販売する物品とその数、価格を決めているはずだが、全ての現場に適合させ得るのは限界があろう。

加えて、コンビニの本部は廃棄ロスよりも機会ロスの方を重要視している。「せっかく客が来たのに、客の需要を満たす商品が品切れだった。棚にはなかった」これが機会ロスである。確かに「コンビニエント(便利な)」という看板を掲げているのであるから、真夜中でも好みの飲食品が調達できるような営業状態を目指すのはわかる。そして、そういうサービスをできる限り多くの地域で展開したいという理念もわかる。しかし、そうであるならば本部は理念を流布するための経費として、現場(=フランチャイジー)に自由裁量で使える相当額の金銭を無条件で付与すべきではないのか。

千や万という単位で存在する加盟店にこのような「自由裁量で使える金銭」を付与するとなると、莫大な予算を必要とする。だが、それは利便性を要求する消費者に転嫁してでも確保すべきではないのか。たとえば真夜中に買い物や収納代行サービスの利用をした場合、一定割合の「便利料」を客に請求してもよい。これは嘗ての「特別地方消費税」に相当する。一回の飲食や宿泊が夫々7,500円、15,000円を超えた場合に適用されたもの。

真夜中にインスタントラーメンを買いに行く?昼間に買っておくか、それが無理なら周囲に頼んで用意しておけばいいだけである。こういうところには付加料金を請求してよい。

存在しない中心

  • 2017.01.27 Friday
  • 00:28
本棚から引っ張り出してきた文庫に挟まっていたもの:
2017-01-26 23.27.46.jpg

「7/20(火)〜8/9(月)」とある。2017年の現在から振り返って、7月20日が火曜日であったのは、
・2014
・2010
・2004
・1999
・1993
……となるのだが、小生がこの種の割引券を手に入れたのは、生活様式から考えると1999年しか残らない。

本棚からこれほど古い文庫を取り出すには、偶然かそれなりの理由かのどちらかが要る。後者である。
「あの著者のあの本にあったのではないか」と曖昧な記憶をもとに、確かめたい文章を探した。そして探し当てた、以下:

 おそらく、日本人が好きなのは、野球ではなく、野球についてまわる物語の方なのだ。だがそれは、同じ野球を国技とするアメリカ野球の物語とも違う(アメリカ人もまた、野球の物語は大好きだ)。アメリカ野球がグラウンドで見る野球なら、日本人の好きな野球は、テレビで見る、スポーツ新聞で見る野球なのではないか。

(中略)

 テレビの前に陣取り、スイッチをひねる。そしてプロ野球中継がはじまる。いつもの、テーマミュージック。お馴染みの広告。しゃべりつづけるアナウンサーと解説者。目の前で繰り広げられている、よく知った選手達によるボールの追いかけ合いを見ながら、我々は奇妙な宙吊りにされたような感覚に陥る。あるいは、夏の(春の)甲子園。毎年違ったメンバーによって、同じ感動のページェントが繰り返されるたびに、やはり我々は奇妙な感覚に陥る。
 なぜなら、目の前で行われているこのゲームの中心には、スポーツがないのだ(アメリカ野球の中心はあくまでもスポーツである)。いや、野球の中心には空洞しかないからなのだ。(アメリカ野球の中心にはアメリカ式民主主義がある。アメリカのスポーツライターは五十年にわたってこのことを書き続けてきた)。我々は空洞を埋めるために、言葉を投げ入れる。そして、空洞が広いほど、言葉は賑やかになる。
 物語を生み出す空虚な中心。我々はだれでも、それについて語り、じつはそのことについてはなにも知らない。これはどこかで見た風景ではないのか。ただ一人を除いて、それ以外の神を必要としない、空虚な中心を持つ制度。我々はいまだそこから逃れることからできないでいる。

※フォント赤色は小生による

高橋源一郎「平凡王」(角川文庫)から引用。小生が赤フォントにした部分が何をさすのか、説明するような無粋なことはしない。そして、今のこの国の政治である。選挙で選ばれた者によって議論される行為こそがまさに政治なのであるが、アベのふざけた答弁と、それを後ろで崩れるように椅子に体を任せつつ笑うアソウ。

何を訊いてもまともに応えることはない、アベ。自分の答弁には野次を飛ばすなという本人が、辻元清美氏の質問に対して「早く質問しろよ!」と野次を飛ばす。「日教組!日教組!」と野次を飛ばしたこともある。

幸か不幸か、政治家の姿はしょっちゅうテレビやネットで見る。だが、政治家の姿と政治そのものは別物である。少しだけ注意を向けてほしい。そこで伝えられているのは政党と政党の間の力関係の変化か、派閥の構成の変化だけであることがわかるはずである。要は、多数決を行ったときにどこが有利になるかを伝えているだけであり、政治家と称される人物の人間性や才能とは無縁である。

多数が正しいとは限らないとは歴史が示しているところであり、多数だけで決めた失敗も多くある。そうであるが故に間接民主政が採られているのであるが、アベとアソウは少数に属する意見を「どうせ多数決で抹殺される意見」として、やりすごすことしか考えていない。少数意見に対して「なるほど、そういう考え方もあるな」と自説を再考することは全くない。

現状では議論とそれが為される議会は、多数決を採るための担保に過ぎない。最も大事なことは相手の意見に耳を貸したり相手の疑問に対して丁寧な説明をしたりすることではなく、時間が経過することなのである。ここでの時間は多数決の後で「(その時間で)十分な議論と説明が尽くされた」とされる。

プロ野球での素晴らしいプレイを、その日のニュースや翌日のスポーツ新聞の見出しで楽しみ、後日のドキュメンタリーで何度も楽しむ。……、プロ野球だから許されるのだろう。

訂正でんでん

  • 2017.01.25 Wednesday
  • 14:27
「訂正でんでんというご指摘は、全く当たりません」。

昨日の安倍晋三の答弁より。「訂正云々」を読み間違えた場所。該当箇所のmp3(90秒)
下記映像の49分22秒あたりから

問題は単に読み間違えたという点に留まらない。
大きな問題は二点ある:

・これは首相が野党を中傷しているスピーチの一部であり、そこまでもがライター任せで、しかも本人が読めないということ
・テレビも新聞も、主要メディアがどれもこれを取り上げていないこと

代議士なのである。有権者の中から選ばれた者は議会で有権者の代弁をせねばならないのに、ライターの原稿をそのまま読んでいる。何のための議会政治なのかという、根本的な疑問が出てくる。

二つ目はメディア統制の顕在化である。麻生太郎が「みぞうゆう(正:未曾有)」「ふしゅう(正:踏襲)」と読み間違えたときは、どこのメディアも取り上げていた。今回の「訂正でんでん(正:訂正云々)」に全てのメディアが気づかなかった?そんなバカな!

自民党の広報担当が即座にお触れを出したのだろう。

「過ちて改めざる、これを過ちという」、なるほどそうかもしれない。
しかし、未だに読み過ちを認めすらしていない。


ネームバリュー

  • 2017.01.24 Tuesday
  • 22:25
東京新聞の社説(24日)より:
安倍首相答弁 野党批判の度が過ぎる

2017年1月24日

 国会という言論の府で一党の党首が他党を批判するのは当然だろう。しかし、安倍晋三自民党総裁の場合、度が過ぎはしないか。安倍氏は同時に行政府の長だ。野党批判にもおのずから限度がある。
 きのう衆院で始まった各党代表質問。冒頭、質問に立ったのは民進党の野田佳彦幹事長だった。
 現職首相と前職首相との「大将戦」である。野田氏が「大局的な視野から質問する」と述べたように、本来なら「国の在り方」をめぐる骨太の議論が期待されるところだ。しかし、後味の悪さが残ったのは、首相の野党批判と無縁ではなかろう。
 野田氏は成長重視の経済政策の行き詰まりを指摘し、二〇一七年度予算案について「メリハリに欠け、ニーズにも的確に対応した予算とは言えない」として、予算案を撤回して「人への投資」に重点的に予算配分することを提案した。
 これに対し、首相は、安倍内閣では旧民主党政権時代と比べて国と地方の税収が二十二兆円増加したことや、毎年一兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びを五千億円以下に抑えたことなどを列挙し、「私たちは言葉だけではなく、結果を出している」と強調した。
 保育士の処遇についても「民主党政権では三年三カ月、何も行わず給与はむしろ引き下げられた。安倍内閣は言葉を重ねるだけでなく結果で応えていく」と述べた。
 現衆院議員は任期四年の半分が過ぎ、年内の衆院解散の可能性が取り沙汰される政治状況だ。政権与党の党首が選挙に勝つために、野党第一党への批判に力を入れる意図は理解できなくもない。
 しかし、首相は政権与党の党首であると同時に、権力を行使する行政府の長でもある。立法府に対する行き過ぎた批判は、三権分立の大原則を逸脱しかねない。
 首相は先週の施政方針演説でも民進党を念頭に「ただ批判に明け暮れ、国会の中でプラカードを掲げても何も生まれない」と述べ、民進党は抗議した。
 自民党側も理解を示し、衆院議院運営委員会理事会では「行政府の長である首相が立法府を評価するのは適切ではない」と政府に伝えることを申し合わせた、という。当然である。
 首相はこれまでも国会の場で野党批判を繰り返してきた。安倍一強の「おごり」にほかならない。国会が批判合戦に明け暮れず、建設的な議論の場となるよう、首相には猛省を、野党側には奮起を促したい。


官邸のサイトから、「1月20日の所信表明」:
 まず冒頭、天皇陛下の御公務の負担軽減等について申し上げます。現在、有識者会議で検討を進めており、近々論点整理が行われる予定です。静かな環境の中で、国民的な理解の下に成案を得る考えであります。

一 はじめに

 昨年末、オバマ大統領と共に、真珠湾の地に立ち、先の大戦で犠牲となった全ての御霊(みたま)に、哀悼の誠を捧げました。
 我が国では、三百万余の同胞が失われました。数多(あまた)の若者たちが命を落とし、人々の暮らし、インフラ、産業はことごとく破壊されました。
 明治維新から七十年余り経った当時の日本は、見渡す限りの焼け野原。そこからの再スタートを余儀なくされました。
 しかし、先人たちは決して諦めなかった。廃墟と窮乏の中から敢然と立ち上がり、次の時代を切り拓きました。世界第三位の経済大国、世界に誇る自由で民主的な国を、未来を生きる世代のため創り上げてくれました。
 戦後七十年余り。今を生きる私たちもまた、立ち上がらなければならない。「戦後」の、その先の時代を拓くため、新しいスタートを切る時です。
 少子高齢化、デフレからの脱却と新しい成長、厳しさを増す安全保障環境。困難な課題に真正面から立ち向かい、未来を生きる世代のため、新しい国創りに挑戦する。今こそ、未来への責任を果たすべき時であります。
 私たちの子や孫、その先の未来、次なる七十年を見据えながら、皆さん、もう一度スタートラインに立って、共に、新しい国創りを進めていこうではありませんか。

二 世界の真ん中で輝く国創り

(日米同盟)
 かつて敵として熾烈に戦った日本と米国は、和解の力により、強い絆(きずな)で結ばれた同盟国となりました。
 世界では今なお争いが絶えません。憎しみの連鎖に多くの人々が苦しんでいます。その中で、日米両国には、寛容の大切さと和解の力を示し、世界の平和と繁栄のため共に力を尽くす責任があります。
 これまでも、今も、そしてこれからも、日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸である。これは不変の原則です。できる限り早期に訪米し、トランプ新大統領と同盟の絆(きずな)を更に強化する考えであります。
 先月、北部訓練場、四千ヘクタールの返還が、二十年越しで実現しました。沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後、最大の返還であります。地位協定についても、半世紀の時を経て初めて、軍属の扱いを見直す補足協定が実現しました。
 更に、学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の全面返還を何としても成し遂げる。最高裁判所の判決に従い、名護市辺野古沖への移設工事を進めてまいります。
 かつて、「最低でも」と言ったことすら実現せず、失望だけが残りました。威勢のよい言葉だけを並べても、現実は一ミリも変わりません。必要なことは、実行です。結果を出すことであります。
 安倍内閣は、米国との信頼関係の下、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つひとつ結果を出していく決意であります。

(地球儀を俯瞰(ふかん)する外交)
 本年は、様々な国のリーダーが交代し、大きな変化が予想されます。先の見えない時代において、最も大切なこと。それは、しっかりと軸を打ち立て、そして、ぶれないことであります。
 自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携する。
 ASEAN、豪州、インドといった諸国と手を携え、アジア、環太平洋地域から、インド洋に及ぶ、この地域の平和と繁栄を確固たるものとしてまいります。
 自由貿易の旗手として、公正なルールに基づいた、二十一世紀型の経済体制を構築する。
 TPP協定の合意は、そのスタンダードであり、今後の経済連携の礎となるものであります。日EU・EPAのできる限り早期の合意を目指すとともに、RCEPなどの枠組みが野心的な協定となるよう交渉をリードし、自由で公正な経済圏を世界へと広げます。
 継続こそ力。就任から五年目を迎え、G7諸国のリーダーの中でも在職期間が長くなります。五百回以上の首脳会談の積み重ねの上に、地球儀を大きく俯瞰(ふかん)しながら、ダイナミックな平和外交、経済外交を展開し、世界の真ん中でその責任を果たしてまいります。

(近隣諸国との関係改善)
 日本海から東シナ海、南シナ海に至る地域では緊張が高まり、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。地域の平和と安定のため、近隣諸国との関係改善を積極的に進めてまいります。
 ロシアとの関係改善は、北東アジアの安全保障上も極めて重要です。しかし、戦後七十年以上経っても平和条約が締結されていない、異常な状況にあります。
 先月、訪日したプーチン大統領と、問題解決への真摯な決意を共有しました。元島民の皆さんの故郷(ふるさと)への自由な訪問やお墓参り、北方四島全てにおける「特別な制度」の下での共同経済活動について、交渉開始で合意し、新たなアプローチの下、平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏み出しました。
 この機運に弾みをつけるため、本年の早い時期にロシアを訪問します。七十年以上動かなかった領土問題の解決は容易なことではありませんが、高齢である島民の皆さんの切実な思いを胸に刻み、平和条約締結に向け、一歩でも、二歩でも、着実に前進していきます。
 本年、日中韓サミットを我が国で開催し、経済、環境、防災など幅広い分野で、地域レベルの協力を強化します。
 韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新しい時代の協力関係を深化させてまいります。
 中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄に大きな責任を有することを、共に自覚し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年という節目を迎える、この機を捉え、「戦略的互恵関係」の原則の下、大局的な観点から、共に努力を重ね、関係改善を進めます。
 北朝鮮が昨年、二度にわたる核実験、二十発以上の弾道ミサイル発射を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議に基づく制裁に加え、関係国と協調し、我が国独自の措置も実施しました。「対話と圧力」、「行動対行動」の一貫した方針の下、核、ミサイル、そして引き続き最重要課題であり、発生から長い年月が経つ拉致問題の包括的な解決に向け、北朝鮮が具体的な行動を取るよう強く求めます。

(積極的平和主義)
 真新しい国旗を手に、誇らしげに入場行進する選手たち。
 南スーダン独立後、初めての全国スポーツ大会には、異なる地域から、異なる民族の選手たちが一堂に会しました。
 その会場の一つとなる、穴だらけだったグラウンドに、一千個を超えるコンクリートブロックを、一つひとつ手作業で埋め込んだのは、日本の自衛隊員たちです。
 最終日、サッカー決勝は、奇(く)しくも、政治的に対立する民族同士の戦い。しかし、選手も、観客も、フェアプレーを貫きました。終了後には、勝利した側の選手が、負けた側の選手の肩を抱き、互いの健闘を称(たた)えあう光景が、そこにはありました。
 幼い息子さんを連れて観戦に来ていたジュバ市民の一人は、その姿に感動し、こう語っています。
 「毎日、スポーツが行われるような平和な国になってほしい。」
 隊員たちが造ったのは、単なるグラウンドではありません。平和を生み出すグラウンドであります。自衛隊の活動一つひとつが、間違いなく、南スーダンの自立と平和な国創りにつながっている。
 灼熱(しゃくねつ)のアデン湾では、今この時も、海賊対処に当たる隊員諸君がいます。三千八百隻を上回る世界の船舶を護衛してきました。
 平和のため黙々と汗を流す自衛隊の姿を、世界が称賛し、感謝し、頼りにしています。与えられた任務を全力で全うする彼らは、日本国民の誇りであります。
 テロ、難民、貧困、感染症。世界的な課題は深刻さを増しています。こうした現実から、我が国だけが目を背けるようなことは、あってはなりません。今こそ、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄のため、皆さん、能(あた)う限りの貢献をしていこうではありませんか。

三 力強く成長し続ける国創り

(「壁」への挑戦)
 昨年、大隅良典栄誉教授がノーベル医学・生理学賞を受賞し、三年連続で日本人がノーベル賞を獲得。世界の真ん中で輝く姿に、「やれば、できる」。日本全体が、大きな自信と勇気をもらいました。
 「未来は『予言』できない。しかし、『創る』ことはできる。」
 ノーベル賞物理学者、デニス・ガボールの言葉です。
 五年前、日本には、根拠なき「未来の予言」があふれていました。「人口が減少する日本は、もう成長できない」、「日本は、黄昏(たそがれ)を迎えている」。不安を煽る悲観論が蔓延していました。
 まさにデフレマインド、「諦め」という名の「壁」が立ちはだかり、政権交代後も、「アベノミクスで成長なんかできない」。私たちの経済政策には、批判ばかりでありました。
 しかし、日本はまだまだ成長できる。その「未来を創る」ため、安倍内閣は、この四年間、三本の矢を放ち、「壁」への挑戦を続けてきました。
 その結果、名目GDPは四十四兆円増加。九%成長しました。中小・小規模事業者の倒産は二十六年ぶりの低水準となり、政権交代前と比べ三割減らすことに成功しました。
 長らく言葉すら忘れられていた「ベースアップ」が三年連続で実現しました。史上初めて、四十七全ての都道府県で有効求人倍率が一倍を超えました。全国津々浦々で、確実に「経済の好循環」が生まれています。
 格差を示す指標である相対的貧困率が足元で減少しています。特に子どもの相対的貧困率は二%減少し、七・九%。十五年前の調査開始以来一貫して増加していましたが、安倍内閣の下、初めて減少に転じました。
 「出来ない」と思われていたことが次々と実現できた。かつての悲観論は完全に間違っていた。そのことを、私たち自公政権は証明しました。
 この「経済の好循環」を更に前に進めていく。今後も、安定した政治基盤の下、力を合わせ、私たちの前に立ちはだかる「壁」を、次々と打ち破っていこうではありませんか。

(中小・小規模事業者への好循環)
 景気回復の風を、更に、全国津々浦々、中小・小規模事業者の皆さんにお届けする。
 先月、五十年ぶりに、下請代金の支払いについて通達を見直しました。これまで下請事業者の資金繰りを苦しめてきた手形払いの慣行を断ち切り、現金払いを原則とします。近年の下請けいじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改定しました。今後、厳格に運用し、下請取引の条件改善を進めます。
 四月から、成長の果実を活かし、雇用保険料率を引き下げます。これにより、中小・小規模事業者の負担を軽減し、働く皆さんの手取りアップを実現します。更に、賃上げに積極的な事業者を、税額控除の拡充により後押しします。
 生産性向上のため、今後二年間の設備投資には、固定資産税を三年間半減する。この仕組みを、製造業だけでなく、小売・サービス業にも拡大することで、商店街などにおいても攻めの投資を促します。

(地方創生)
 一日平均、二十人。人影が消え、シャッター通りとなった岡山の味野(あじの)商店街は、その「壁」に挑戦しました。
 地場の繊維産業を核に、商店街、自治体、商工会議所が一体で、「児島ジーンズストリート」を立ち上げました。三十店を超えるジーンズ店が軒を並べ、ジーンズ柄で構内がラッピングされた駅からは、ジーンズバスやジーンズタクシーが走ります。
 まさに「ジーンズの聖地」。今や、年間十五万人を超える観光客が集まる商店街へ生まれ変わりました。評判は海外にも広がり、アジアからの外国人観光客も増えています。
 地方には、それぞれの魅力、観光資源、ふるさと名物があります。それを最大限活かすことで、過疎化という「壁」も必ずや打ち破ることができるはずです。
 自分たちの未来を、自らの創意工夫と努力で切り拓く。地方の意欲的なチャレンジを、自由度の高い「地方創生交付金」によって、後押しします。
 地方の発意による、地方のための分権改革を進めます。空き家や遊休地の活用に関する制限を緩和し、自治体による有効利用を可能とします。
 故郷(ふるさと)への情熱を持って、地方創生にチャレンジする。そうした地方の皆さんを、安倍内閣は、全力で応援します。

(観光立国)
 一千万人の「壁」。政権交代前、外国人観光客は、年間八百万人余りで頭打ちとなっていました。
 安倍内閣は、その「壁」を、僅か一年で突破しました。四年連続で過去最高を更新し、昨年は、三倍の二千四百万人を超えました。
 日本を訪れる外国クルーズ船は、僅か三年で四倍に増加。秋田港で竿燈(かんとう)まつり、青森港でねぶた祭、徳島小松島港で阿波おどり、各地自慢の祭りを巡る外国のクルーズツアーが企画されるなど、地方に大きなチャンスが生まれています。
 民間資金を活用し、国際クルーズ拠点の整備を加速します。港湾法を改正し、投資を行う事業者に、岸壁の優先使用などを認める新しい仕組みを創設します。
 沖縄はアジアとの架け橋。我が国の観光や物流のゲートウェイです。新石垣空港では、昨年、香港からの定期便の運航が始まり、外国人観光客の増加に沸いています。機材の大型化に対応するための施設整備を支援します。
 全国の地方空港で、国際定期便の就航を支援するため、着陸料の割引、入国管理等のインフラ整備を行います。羽田、成田両空港の二〇二〇年四万回の容量拡大に向け、羽田空港では新しい国際線ターミナルビルの建設に着手します。
 いわゆる「民泊」の成長を促すため、規制を改革します。衛生管理などを条件に、旅館業法の適用を除外することで、民泊サービスの拡大を図ります。
 あらゆる政策を総動員して、次なる四千万人の高みを目指し、観光立国を推し進めてまいります。

(農政新時代)
 地方経済の核である農業では、高齢化という「壁」が立ちはだかってきました。平均年齢は六十六歳を超えています。
 しかし、攻めの農政の下、四十代以下の新規就農者は二年連続で増加し、足元では、統計開始以来最多の二万三千人を超えました。生産農業所得も、直近で年間三兆三千億円、過去十一年で最も高い水準まで伸びています。
 更なる弾みをつけるため、八本に及ぶ農政改革関連法案を、今国会に提出し、改革を一気に加速します。
 農業版の「競争力強化法」を制定します。肥料や飼料を一円でも安く仕入れ、農産物を一円でも高く買ってもらう。そうした農家の皆さんの努力を後押しするため、生産資材や流通の分野で、事業再編、新規参入を促します。委託販売から買取販売への転換など、農家のための全農改革を進めます。数値目標の達成状況を始め、その進捗をしっかりと管理してまいります。
 牛乳や乳製品の流通を、事実上、農協経由に限定している現行の補給金制度を抜本的に見直し、生産者の自由な経営を可能とします。
 農地バンクの下、農地の大規模化を進めます。世界のマーケットを目指し、生産行程や流通管理の規格化、JETROの世界ネットワークを活用したブランド化を展開し、競争力を強化します。
 農政改革を同時並行で一気呵(か)成に進め、若者が農林水産業に自分たちの夢や未来を託することができる「農政新時代」を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。

(イノベーションを生み出す規制改革)
 チャレンジを阻む、あらゆる「壁」を打ち破ります。イノベーションを次々と生み出すための、研究開発投資、そして規制改革。安倍内閣は、三本目の矢を、次々と打ち続けます。
 医療情報について、匿名化を前提に利用可能とする新しい仕組みを創設します。ビッグデータを活用し、世界に先駆けた、新しい創薬や治療法の開発を加速します。
 人工知能を活用した自動運転。その未来に向かって、本年、各地で実証実験が計画されています。国家戦略特区などを活用して、自動運転の早期実用化に向けた民間の挑戦を後押しします。
 民間の視点に立った行政改革も進めます。長年手つかずであった各種の政府統計について、一体的かつ抜本的な改革を行います。
 本年四月からガスの小売りを完全に自由化します。昨年の電力自由化と併せ、多様なサービスのダイナミックな展開と、エネルギーコストの低廉化を実現します。
 水素エネルギーは、エネルギー安全保障と温暖化対策の切り札です。これまでの規制改革により、ここ日本で、未来の水素社会がいよいよ幕を開けます。三月、東京で、世界で初めて、大容量の燃料電池を備えたバスが運行を始めます。来年春には、全国で百か所の水素ステーションが整備され、神戸で水素発電による世界初の電力供給が行われます。
 二〇二〇年には、現在の四十倍、四万台規模で燃料電池自動車の普及を目指します。世界初の液化水素船による大量水素輸送にも挑戦します。生産から輸送、消費まで、世界に先駆け、国際的な水素サプライチェーンを構築します。その目標の下に、各省庁にまたがる様々な規制を全て洗い出し、改革を進めます。

四 安全・安心の国創り

(被災地の復興)
 再生可能エネルギーから大規模に水素を製造する。最先端の実証プロジェクトが、福島で動き出しました。
 南相馬では、町工場の若い後継者たちが力を合わせ、災害時に水中調査を行うロボットを開発しました。その一人、金型工場の二代目、渡邉光貴(こうき)さんが、強い決意を私に語ってくれました。
 「南相馬が『ロボットの町』と言われるよう、若い力で頑張る。」
 原発事故により大きな被害を受けた浜通り地域は、今、世界最先端の技術が生まれる場所になろうとしています。
 福島復興特措法を改正し、イノベーション・コースト構想を推し進めます。官民合同チームの体制を強化し、生業(なりわい)の復興を加速します。
 今年度中に、帰還困難区域を除き、除染が完了します。廃炉、賠償等を安定的に実施することと併せ、二〇二〇年には身近な場所から仮置き場をなくせるよう、中間貯蔵施設の建設を急ぎます。帰還困難区域でも、復興拠点を設け、五年を目途に避難指示解除を目指し、国の負担により除染やインフラ整備を一体的に進めます。
 東北三県では、来年春までに、九十五%を超える災害公営住宅が完成し、高台移転も九割で工事が完了する見込みです。農業、水産業、観光業など、生業(なりわい)の復興を力強く支援します。
 熊本地震以来通行止めとなっていた、俵山トンネルを含む熊本高森線が先月開通し、日本が誇る観光地・阿蘇へのアクセスが大きく改善しました。今後、熊本空港ターミナルビルの再建、更には「復興のシンボル」である熊本城天守閣の早期復旧を、国として全力で支援してまいります。

(国土の強靱(じん)化)
 昨年の台風十号では、岩手の岩泉町で、避難が遅れ、九名の高齢者の方々が川の氾濫の犠牲となりました。現場に足を運び、御冥福をお祈りするとともに、再発防止への決意を新たにしました。
 水防法を抜本的に改正します。介護施設、学校、病院など避難に配慮が必要な方々がいらっしゃる施設では、避難計画の作成、訓練の実施を義務化します。中小河川も含め、地域住民に水災リスクが確実に周知されるようにします。
 治水対策の他、水害や土砂災害への備え、最先端技術を活用した老朽インフラの維持管理など、事前防災・減災対策に徹底して取り組み、国土強靱(じん)化を進めます。

(生活の安心)
 糸魚川の大規模火災で被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い生活再建、事業再開に向け、国も全力で支援してまいります。
 お年寄りなどを狙った悪質業者が後を絶ちません。被害者の救済を消費者団体が代わって求める新しい訴訟制度が、昨年スタートしました。これを国民生活センターがバックアップする仕組みを整え、より迅速な救済を目指します。
 三年後に迫ったオリンピック・パラリンピックを必ず成功させる。サイバーセキュリティ対策、テロなど組織犯罪への対策を強化します。受動喫煙対策の徹底、ユニバーサルデザインの推進、多様な食文化への対応など、この機を活かし、誰もが共生できる街づくりを進めます。
 昨年七月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります。

五 一億総活躍の国創り

 障害や難病のある方も、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる社会を創る。
 一億総活躍の「未来」を切り拓くことができれば、少子高齢化という課題も必ずや克服できるはずです。
 しかし、家庭環境や事情は、人それぞれ異なります。何かをやりたいと願っても、画一的な労働制度、保育や介護との両立など様々な「壁」が立ちはだかります。こうした「壁」を一つひとつ取り除く。これが、一億総活躍の国創りであります。

(働き方改革)
 最大のチャレンジは、一人ひとりの事情に応じた、多様で柔軟な働き方を可能とする、労働制度の大胆な改革。働き方改革です。
 アベノミクスによって、有効求人倍率は、現在、二十五年ぶりの高い水準。この三年間ずっと一倍を上回っています。正規雇用も一昨年増加に転じ、二十四か月連続で前年を上回る勢いです。雇用環境が改善する中、民間企業でも、定年延長や定年後も給与水準を維持するなど、前向きな動きが生まれています。
 雇用情勢が好転している今こそ、働き方改革を一気に進める大きなチャンスです。三月に実行計画を決定し、改革を加速します。
 同一労働同一賃金を実現します。昇給の扱いが違う、通勤などの各種手当が支給されない、福利厚生や研修において扱いが異なるなど、不合理な待遇差を個別具体的に是正するため、詳細なガイドライン案を策定しました。今後、その根拠となる法改正について、早期の国会提出を目指し、立案作業を進めます。
 一年余り前、入社一年目の女性が、長時間労働による過酷な状況の中、自ら命を絶ちました。御冥福を改めてお祈りするとともに、二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意で、長時間労働の是正に取り組みます。いわゆる三六協定でも超えることができない、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正に向けて、作業を加速します。
 抽象的なスローガンを叫ぶだけでは、世の中は変わりません。重要なことは、何が不合理な待遇差なのか、時間外労働の限度は何時間なのか、具体的に定めることです。言葉だけのパフォーマンスではなく、しっかりと結果を生み出す働き方改革を、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。

(女性の活躍)
 「人は、幾つからでも、どんな状況からでも、再出発できる。」
 十六年間子育てに専念した後、リカレント教育を受け、再就職を果たした、島千佳さんの言葉です。役職にも就き、仕事に大変やりがいを感じているそうです。島さんは、笑顔で、私にこう語ってくれました。
 「子育ての経験をしたからこそ、今の職場で活かせることがたくさんある。」
 子育てや介護など多様な経験を持つ人たちの存在は、企業にとって大きなメリットを生み出すはずです。
 「百三万円の壁」を打ち破ります。パートで働く皆さんが、就業調整を意識せずに働くことができるよう、配偶者特別控除の収入制限を大幅に引き上げます。
 出産などを機に離職した皆さんの再就職、学び直しへの支援を抜本的に拡充します。復職に積極的な企業を支援する助成金を創設します。雇用保険法を改正し、教育訓練給付の給付率、上限額を引き上げます。子どもを託児所に預けながら職業訓練が受けられる、また、土日・夜間にも必要な講座を受講できるなど、きめ細かく、再就職支援の充実を図ります。

(成長と分配の好循環)
 保育や介護と、仕事の両立を図る。
 子育てを理由に仕事を辞めずに済むよう、育休給付の支給期間を最大二歳まで延長します。地方と連携し、子育て世帯に対する住宅ローン金利を引き下げ、三世代の近居や同居を支援します。
 「待機児童ゼロ」、「介護離職ゼロ」。その大きな目標に向かって、保育、介護の受け皿整備を加速します。国家戦略特区で実施してきた都市公園に保育園や介護施設の建設を認める規制緩和を全国展開します。
 人材を確保するため、来年度予算でも処遇改善に取り組みます。介護職員の皆さんには、経験などに応じて昇給する仕組みを創り、月額平均一万円相当の改善を行います。保育士の方々には、概ね経験三年以上で月五千円、七年以上で月四万円の加算を行います。
 加えて、全ての保育士の皆さんに二%の処遇改善を実施します。これにより、政権交代後、合計で十%の改善が実現いたします。他方で、あの三年三か月、保育士の方々の処遇は、改善するどころか、引き下げられていた。重要なことは、言葉を重ねることではありません。責任を持って財源を確保し、結果を出すことであります。安倍内閣は、言葉ではなく結果で、国民の負託に応えてまいります。
 年金受給資格期間を二十五年から十年に短縮します。消費税率引上げを延期した中でも、十月から、新しく六十四万人の方々に年金支給を開始します。自治体による国保の安定的な運営のため財政支援を拡充します。最低賃金が大きく上昇を続ける中、失業給付について、若い世代への支給期間を延長するなど改善を実施します。
 来年度予算では、政権交代前と比べ、国の税収は十五兆円増加し、新規の公債発行額は十兆円減らすことができました。こうしたアベノミクスの果実も活かし、「成長と分配の好循環」を創り上げてまいります。
 同時に、将来にわたり持続可能な社会保障制度を構築するため、改革の手も決して緩めません。
 薬価制度の抜本改革を断行します。二年に一回の薬価改定を毎年実施することとし、国民負担の軽減と医療の質の向上の両立を図ります。医療保険で、高齢者の皆さんが現役世代より優遇される特例に関し、一定の所得がある方については見直しを実施します。
 累次の改革が実を結び、かつて毎年一兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びは、今年度予算に続き来年度予算においても、五千億円以下に抑えることができました。引き続き、経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを同時に実現しながら、一億総活躍の未来を切り拓いてまいります。

六 子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り

(個性を大切にする教育再生)
 我が国の未来。それは、子どもたちであります。
 子どもたち一人ひとりの個性を大切にする教育再生を進めます。
 先般成立した教育機会確保法を踏まえ、フリースクールの子どもたちへの支援を拡充し、いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが、自信を持って学んでいける環境を整えます。
 実践的な職業教育を行う専門職大学を創設します。選択肢を広げることで、これまでの単線的、画一的な教育制度を変革します。

(誰にでもチャンスのある教育)
 「邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん」
 明治日本が、学制を定め、国民教育の理想を掲げたのは、今から百四十年余り前のことでした。
 それから七十年余り。日本国憲法が普通教育の無償化を定め、小・中学校九年間の義務教育制度がスタートしました。
 本年は、その憲法施行から七十年の節目であります。
 この七十年間、経済も、社会も、大きく変化しました。子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育もまた、全ての国民に真に開かれたものでなければなりません。学制の序文には、こう記されています。
 「学問は身を立(たつ)るの財本(もとで)ともいふべきもの」
 どんなに貧しい家庭で育っても、夢を叶(かな)えることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。
 高校生への奨学給付金を更に拡充します。本年春から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにします。返還についても卒業後の所得に応じて変える制度を導入することで、負担を軽減します。
 更に、返還不要、給付型の奨学金制度を、新しく創設いたします。本年から、児童養護施設や里親の下で育った子どもたちなど、経済的に特に厳しい学生を対象に、先行的にスタートします。来年以降、一学年二万人規模で、月二万円から四万円の奨学金を給付します。
 幼児教育についても、所得の低い世帯では、第三子以降に加え、第二子も無償とするなど、無償化の範囲を更に拡大します。
 全ての子どもたちが、家庭の経済事情にかかわらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる。そうした日本の未来を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。

七 おわりに

 子や孫のため、未来を拓く。
 土佐湾でハマグリの養殖を始めたのは、江戸時代、土佐藩の重臣、野中兼山(けんざん)だったと言われています。こうした言い伝えがあります。
「美味しいハマグリを、江戸から、土産に持ち帰る。」
 兼山(けんざん)の知らせを受け、港では大勢の人が待ち構えていました。しかし、到着するや否や、兼山(けんざん)は、船いっぱいのハマグリを全部海に投げ入れてしまった。ハマグリを口にできず、文句を言う人たちを前に、兼山(けんざん)はこう語ったと言います。
 「このハマグリは、末代までの土産である。子たち、孫たちにも、味わってもらいたい。」
 兼山(けんざん)のハマグリは、土佐の海に定着しました。そして三百五十年の時を経た今も、高知の人々に大きな恵みをもたらしている。
 まさに「未来を拓く」行動でありました。
 未来は変えられる。全ては、私たちの行動にかかっています。
 ただ批判に明け暮れたり、言論の府である国会の中でプラカードを掲げても、何も生まれません。意見の違いはあっても、真摯かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこうではありませんか。
 自らの未来を、自らの手で切り拓く。その気概が、今こそ、求められています。
 憲法施行七十年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる七十年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか。
 未来を拓く。これは、国民の負託を受け、この議場にいる、全ての国会議員の責任であります。
 世界の真ん中で輝く日本を、一億総活躍の日本を、そして子どもたちの誰もが夢に向かって頑張ることができる、そういう日本の未来を、共に、ここから、切り拓いていこうではありませんか。
 御清聴ありがとうございました。

※フォント赤色は小生による

2007年の参院選、既に十年前のことになるにもかかわらず、未だにトラウマになっているらしい。仮に言及するとしても末尾に付言するようなことをアタマに持ってきたことが、それを現している。
そして、サミットの括りにまで使った「アベノミクス」なる言葉の使用頻度が激減している。半年前に「エンジンを最大限に吹かす」と言ったのであるから、その戦果報告があって然るべきである。

倒産件数の減少も主張しているが、これは自殺件数の減少と同じである。人は一回しか自殺できないのと同様、企業も基本的に一回しか倒産できない。経済成長の成果とは言えない。

「堀江貴文の側にカネがなかったら」と思うことがある。居住地を固定せずにホテル暮らしらしいが、多くを恨みを買っているがために固定できないのが本当のところだろう。安倍晋三も似たようなもの。「総理大臣」という肩書きを聞かされれば、大抵の人は後ずさりする。だが、この人物から「総理」「政治家」という肩書きを外した場合、どれだけの人が崇拝するのか。

名前や肩書きで判断するのは楽である。前科持ちの中卒、今の日本でこれより下はない。
「行伝-Ko-den-」、どれだけのネームバリューがあるのだろうか。

Floppy Disk Drive

  • 2017.01.21 Saturday
  • 19:25
今頃になってフロッピードライブが必要になるとは思わなんだ。
いや、隣室であるPRIVATE STUDIOにはフロッピードライブの付いている機器が5,6台あるのだが、フォーマットはその機器専用。だが、SMFを扱えるQ-80EXがバルク品ではあるが完動品として入ってきたので、そこにデータを移すため。

それも2DDである。720KB。

ただ、MIDIデータは単純なデータなので、かなり凝った曲を書き上げたとしても100KB程度に収まる。側にはMirrored Drive Doorsもあるのだが、こんなものにフロッピードライブが付いているはずがない。

でもって、USB接続のFDDをWebで探した。ノーブランドの新品か有名ブランドの中古かで迷ったが、後者にした。有名ブランドの新品という選択肢もあったのだが、FDDなんぞに数千円も出せるかいな。

動作チェック済のものを500円(税込)で調達。いやはや。

アベはどこまでアホなのか

  • 2017.01.12 Thursday
  • 17:46
昨年に続いて、散らし初め:
2017-01-05 11.10.57.jpg

さて。

毎日新聞より:
「教育無償化」も…安倍首相が例示

自・維が協議開始へ

 安倍晋三首相が昨年10月、自民党の保岡興治憲法改正推進本部長と会談した際、日本維新の会の憲法改正原案に盛り込まれた「教育無償化」を改憲項目として例示していたことが分かった。複数の両党関係者が明らかにした。自民党はその後、改憲議論のテーマとして明記。教育無償化は野党や国民の賛同も得やすいとの思惑があるとみられる。20日召集の通常国会以降、本格化する改憲項目絞り込みの焦点の一つになりそうだ。

 関係者によると、首相は会談で改憲項目案の一つとして教育無償化に言及。保岡氏に…

「…」以下は有料記事

……、アホかいな。

第二十六条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。


article 26.
Aall people shall have the right to receive an equal education correspondent to their ability, as provided by law.
All people shall be obligated to have all boys and girls under their protection receive ordinary education as provided for by law. such compulsory education shall be free.


国立大学の一年間の学費が50万円もするのである、明らかに第一項に抵触しているではないか。センター試験と二次試験を受験するだけでそれぞれ数万円がかかる。

携帯電話の料金に口出しする前に、法整備をちゃんとせんかいな!

それでもって、東京新聞から:
2017-01-12 01.39.32.jpg

都合の悪い人間は次々と逮捕、勾留され、更に嫌われるとムショ送り。

百人一首のように

  • 2016.12.27 Tuesday
  • 22:30
今年はまだ今日を含めて5日残っているが、自動車(加害者)の運転手が「ポケモンGO」をしていたが為に亡くなった人が5人いる。「ポケモンGO」を「スマホ」に置き換えると、もっと増えるものと思われる。

だってねぇ、スマホを弄っているドライバーが多いんだもの。

現在の小生は車輪のついている移動手段は持っていない。よって徒歩で信号待ちのクルマの列の横を歩くことが屢あるワケだが、横に目をやるとほんっとーに多い。他にはカーナビを映している画面にテレビが映っているもの。走行中にテレビを視聴できないようにメーカーは配慮しているはずなのだが、簡単に解除できるのだろう。

歩きスマホは本人が害を受けるだけで済むのだが、「クルマスマホ」はそうではない。そうして、これには危険運転致死傷罪が適用できない。過失運転致死傷罪だけであり、最高刑は懲役7年である。クルマの中で地図を見ていて人を跳ねたのと同じ扱い。


さて。


例文2.jpg



例文3.jpg



例文.jpg




上から順に、
・佐々木眄「和文英訳の修業」(文建書房)、序文
・伊藤和夫「伊藤和夫の英語勉強法」(駿台文庫)、p.70
・行方昭夫「英会話不要論」(文春新書)、p.77

佐々木眄先生のこの書物が上梓されたのは1952年1月(初版)であり、行方昭夫先生の新書は2014年10月である。「『英借文』方式は支持しない」という英語指導者も何人か知っている。だが、それでも、である。

伊藤和夫先生の上述著書が上梓されたのは、手許に正確な資料はないのだが1995年頃とされる。半世紀を超えて、異なる英語指導者が同じ主張をしているのである「単文を暗唱せよ」。

昨年逝去された笛野高之先生に訊いたこともある。量子化学の権威で「英語何ぞは道具であり、『学習』の対象ではない」と断じておられた。1931年に大阪で生まれ、京都の福知山で育った先生がどこの国へ行っても通じ、論文も難なくこなす英語力をどのように修得されたのか興味があったのである。

今のように音声教材が豊富にあるワケではなく、外国人と接する機会も稀。さらに、福知山という田舎である。そこの旧制中学には優れた英語の教師がいて、只管、英文(英短文)を読んで聞かせたらしい。聞かせただけでなく生徒に復唱させ、発音とアクセントの他にブレスポイントを特に重視されたとのこと。英文を読むときにスラッシュを入れる人がいるが、ブレスポイント(息継ぎしてよいところ)はそこだけだと徹底され、生徒ができるまで何度もやり直しをさせたと聞いた。笛野先生は通学の汽車(本当に汽車の時代)がトンネルに入るまでに何度も読み返し、真っ暗なトンネルの中で覚えたかどうかを確かめたとのこと。

現在、駿台文庫から「新・基本英文700選」というCD2枚つきの書籍が千円で発売されている。毎晩、寝る前にシャドウイングしながら聴いている。冒頭を聞いただけで、末尾までスラスラと言えるように。

尚、「学校英語では話せるようにならない」と宣う人がいる。そういう人は聞くことも書くこともできていないはずである。伊藤先生の言葉を敷衍すれば「ゆっくり読んでもわからないものが、聞いただけでわかるわけがない」「じっくり時間を掛けても出てこないようなものが、咄嗟に口から出てくるはずもない」。

考えない人たちのこと

  • 2016.12.25 Sunday
  • 18:00


ツイート中の「情報リテラシーの問題」「考えるのが面倒くさい(と思っている人たち)」の存在を最近、如実に感じる。考えるための材料は簡単に手に入る。

「ネットには正しい情報『も』ある」くらいに考えておいた方がいい。DeNAの捏造記事の問題も、書き手が誰かを確かめる作業さえすれば、読むに値しない情報ばかりであったことに気付けたはず。しかし、「ネットは正しい」と盲目的に信じる輩がいる。

たとえば、



こういうTweetがある。この写真から「鳩山由紀夫は朝鮮人ばかりを閣僚にした」と宣った人がいた。鳩山由紀夫の好き嫌いは別として、「朝鮮を擁護する人のこと?」と問い返すと「朝鮮人」と断言されてしまった。

現在のこの国では、外国人には参政権はない。選挙権も被選挙権もないので、議院内閣制の閣僚に外国人が含まれる余地はない……というような説明をしても、「この写真で明らかです!」。

……、
……。

積ん読を崩す年末年始に入ります。

5年目にして、初めて

  • 2016.12.18 Sunday
  • 19:23
髪の長い男性の後ろ姿を発見して、対向車とかがあって、しっかりと確認出来ませんでした。
髪、きれいですね。羨ましいです。


「髪がきれい」、生まれて初めて言われた。

Gパンを穿くときに後ろに巻き込まれることがあり、そうであるこそ「長いですね」「長い!」と量に関する評価は耳タコ。だが、質に対する評価は全くなかった。

髪を伸ばすのは4回目だが、今回が一番長い。東日本大震災の頃から伸ばし始めた。どこまで伸ばせるだろうか。

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